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どちらが幸せ・アメリカとフランス

 フランスの大統領選挙でサルコジ氏が当選し、フランスの将来を心配する英国の記者の記事がある雑誌に掲載されていた。

 「今日のランチは職場の自分の席で食べました。タッパーウェアには、昨晩のパスタの残り物。おかずは缶詰のツナ。申し訳なさそうなケーパーの塩漬けにしなびたオリーブ。しかも食後の世間話もないんです。まともに髪を切る暇だってないんですよ。サルコジさん、あなたはフランスをこんな国にしたいんですか?英米をまねたら本当にそんな国になってしまうんですよ。」

 英国人の記者は上のように述べて、サルコジさん、お願いだから、美しい国フランスから素敵な部分をなくしてしまうのはやめてください、と懇願しているのだ。

 サルコジ氏はこう述べて大統領になった。「フランスの民衆は、過去の思想、行動、習慣から決別することを選択しました。労働、実力主義、勤勉精神の復権を目指したい。」

 数字でアメリカとフランスを比較すると

    アメリカ人                 フランス人

    3億人      人口          6100万人

    75歳     男の平均寿命        77歳

    約46時間  平均労働時間      35時間(普通は)

    12%     貧困層の割合       6.2%

   65~67歳   平均退職年齢      60歳

   200万人以上  囚人の数        約5万人

   16692件    年間殺人件数      1000件

   3分の2以上   肥満の割合      3分の1未満

 となっている。どちらが人間にとって幸せな国なんだろう。フランスは伝統的に「自由・平等・博愛」を求めてきた国だと思うが、英米のような国の方が理想の社会なのだろうか。

 日本も戦後フランス型の福祉社会を目指してきた。だが国際競争に勝てないとの理由で競争原理主義的な手法を導入しようとしている。日本の社会は”イチロー”に5年間で155億円もの契約金を払える社会ではない。日本一の企業トヨタの役員の報酬だって平均で7500万円、従業員の平均の10倍くらいでしかない。

 アメリカの代表的経済学者のポール・クルーグマン氏が最近のアメリカ人の身体的特徴の一つである身長が伸び悩み、ヨーロッパ人に比較して低くなっているのを論じている。「舌鋒鋭い欧州人なら、こういうかも知れない。米国は、常に何かに追われている親たちと、なおざりにされている子供の国で、医療費も高く、それを最も必要としている人たちには届かず、また、あれだけ裕福にもかかわらず、なぜか、あくどくて、野蛮で、矮小な人々が暮らす国だと。」と子供をないがしろにしているのを嘆いている。

 日本もどのような国を目指すのか岐路に立たされているが、フランスのジャーナリストがフランス社会に対して「風呂の水と一緒に赤ん坊まで捨ててはいけない」と美点まで捨てることへの危惧の念を示している。日本人もこの言葉を深く噛みしめなければならないのではないだろうか。アメリカの社会がいいのか、フランス的福祉社会がいいのか、よく考えたいものだ。

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